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寒武紀(Cambricon)2026年7〜9月期決算:純利益148%増も売上高は予想を約44%下回る

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寒武紀(Cambricon)2026年7〜9月期決算:純利益148%増も売上高は予想を約44%下回る

「中国のエヌビディア」とも呼ばれる中国のAIチップ設計会社、寒武紀科技(Cambricon Technologies)は、2026年7〜9月期(第3四半期)に売上高を倍増させましたが、それでもアナリスト予想を大きく下回りました。10月23日の取引終了後に上海証券取引所へ提出された第3四半期報告書によると、売上高は前年同期比104.47%増の35.3億元、親会社株主に帰属する純利益は同147.74%増の14.0億元でした。ブルームバーグによると、アナリストは売上高を約62.6億元と予想しており、実績はコンセンサスを約44%下回りました。

アナリストはこの差を供給面の問題と見ています。寒武紀の在庫は今年に入って2倍以上に膨らむ一方、同四半期の営業キャッシュフローはマイナスに転じました。部品の調達とチップの生産が、出荷と売上計上のペースを上回っていることがうかがえます。

要点

  • 2026年7〜9月期の売上高は35.3億元(前年同期比104.47%増)。1〜9月期の売上高は95.3億元(同106.76%増)。
  • 7〜9月期の親会社株主に帰属する純利益は14.0億元(同147.74%増)。非経常損益を除くと13.6億元(同168.13%増)。
  • ブルームバーグがまとめた同四半期の市場予想は約62.6億元でした。ブルームバーグは予想未達の要因を製造能力の制約とメモリー不足に求めています。
  • 9月30日時点の在庫は116.6億元で、2025年末の49.4億元から増加しました。7〜9月期の営業キャッシュフローはマイナス8368万元でした。
  • 寒武紀の2026年従業員インセンティブ計画は売上高目標を135億元としており、達成には10〜12月期に少なくとも39.7億元が必要です。
  • 株価は決算発表前の10月23日に前日比5.46%高の932.20元で取引を終えました。発表後最初の取引日は10月26日(月)です。

寒武紀の2026年7〜9月期決算の主な数字

項目(人民元)2026年7〜9月期前年同期比2026年1〜9月期前年同期比
売上高35.3億元+104.47%95.3億元+106.76%
親会社株主に帰属する純利益14.0億元+147.74%37.1億元+131.49%
非経常損益控除後の純利益13.6億元+168.13%35.2億元+148.30%
営業キャッシュフロー-8368万元該当なし2億2764万元前年同期 -2930万元
研究開発費5億2259万元+73.66%12.3億元+45.35%
1株当たり基本利益(元)2.23+145.05%5.91+129.07%

出典:寒武紀 2026年第3四半期報告書(監査前)。

報告書は増収の理由として、市場開拓とAIアプリケーションの導入支援を簡潔に挙げています。製品別や顧客別の売上高の内訳は開示していません。

利益率

寒武紀は四半期ごとの売上総利益率を開示していませんが、開示資料から算出できます。1〜9月期の売上原価は41.4億元で、2026年中間報告書の上半期の数字を差し引くと7〜9月期は約14.6億元となり、同四半期の売上総利益率は58.7%前後となります。1〜9月期の売上総利益率は約56.5%で、前年同期の55.3%から上昇しました。これらは開示数値をもとにした当社の試算です。

研究開発費は7〜9月期売上高の14.8%で、前年同期の17.4%から低下しました。金額ベースでは依然として急速に増えていますが、売上高の伸びがそれを上回っています。

売上高が予想に届かなかった理由

The Next Webが紹介したブルームバーグの分析は、2つの制約を指摘しています。

  1. メモリー:AIアクセラレーターには、プロセッサーの横に積層DRAMを配置する広帯域メモリー(HBM)が必要です。HBMは主にサムスン電子、SKハイニックス、マイクロン・テクノロジーが製造しており、米国の輸出規制により先端HBMの中国向け販売は禁じられています。長鑫存儲技術(CXMT)などの中国メーカーは、まだ生産を立ち上げている段階です。
  2. 製造:寒武紀のチップは中国国内で製造されていますが、中芯国際集成電路製造(SMIC)はASMLの最先端露光装置を購入できません。このため、先端チップの生産量と歩留まりに限界があります。

サウスチャイナ・モーニング・ポストが引用したモルガン・スタンレーによると、HBMのコスト上昇が寒武紀のMLU580の出荷を制約しました。また、7〜9月期にはMLU692が大手クラウド顧客に評価用として供給され、関連売上高の大半は10〜12月期に計上される見込みだとしています。

基板上のAIアクセラレーターチップと空いた広帯域メモリーのソケット、その横に箱詰めの在庫が積まれた倉庫を描き、メモリー供給の制約を表したイラスト
AIアクセラレーターにはプロセッサーの横に積層された広帯域メモリーが必要です。アナリストは、HBM不足が7〜9月期の寒武紀のチップ出荷量を抑えたと見ています。AI-generated illustration / AightenAI-generated

寒武紀自身は、売上高の未達を供給の問題とは説明していません。開示資料は数字を示すのみで、市場予想については触れていません。

在庫とキャッシュフローも同じ状況を示す

供給の逼迫が最もはっきり表れているのは貸借対照表です。

貸借対照表の項目(人民元)2026年9月30日2025年12月31日増減
棚卸資産(在庫)116.6億元49.4億元+136%
仕入先への前渡金30.4億元7.4億元約4.1倍
支払手形49.7億元3.5億元約14倍
契約負債(顧客からの前受金)1億4124万元61万元ほぼゼロから増加
現金及び預金5億5538万元13.2億元-58%
総資産223.6億元134.4億元+66%

出典:寒武紀 2026年第3四半期報告書。

これらの項目を合わせて見ると、在庫を積み増している企業の姿が浮かびます。寒武紀は仕入先に30.4億元を前払いし、手形による仕入れを増やし、1〜9月期の売上高全体を上回る116.6億元の在庫を抱えています。契約負債の急増が示すように、一部の顧客も前払いを始めています。

注意が必要な数字が2つあります。

  • 現金及び預金は5.55億元に減少しましたが、寒武紀は別に38.1億元の取引目的金融資産(主に短期投資)を保有しており、流動性は現金の項目だけを見た印象ほど乏しくはありません。
  • 1〜9月期の資産減損損失は5億161万元で、前年同期の8694万元から増えました。開示資料は何を減損したのかを明らかにしていません。これほど在庫が大きいだけに、投資家は決算説明会でその内訳に注目するとみられます。

135億元の目標

寒武紀が2026年の売上高目標135億元を「改めて示した」と伝える報道もあります。同花順(10jqka)による計画の要約によると、この数字は7月に公表された2026年の譲渡制限付株式インセンティブ計画に由来し、従業員への株式付与の業績条件として設定されたものです(下限の条件は108億元)。正式な業績見通しではなく、第3四半期報告書でも繰り返されていません。

それでも試算には意味があります。9月までに95.3億元を計上しているため、135億元に届くには10〜12月期に少なくとも39.7億元が必要です。これは7〜9月期を約12.5%上回り、2025年10〜12月期の約18.9億元のおよそ2倍にあたります。この2025年10〜12月期の数字は、毎日経済新聞(NBD)が報じた2025年通期売上高65.0億元をもとにしています。モルガン・スタンレーが見込むMLU692の売上高が10〜12月期に計上されれば目標は射程に入りますが、メモリーの供給逼迫が続けば達成は難しくなります。

中国AIチップ市場における寒武紀の位置

2026年はエヌビディアが中国市場から締め出されたことで、国産AIチップへの需要が急増しました。ロイターの報道によると、1月には中国の税関当局が通関業者に対し、エヌビディアのH200は輸入が認められないと伝えました。エヌビディア自身も2027年度第2四半期のCFOコメンタリーで、中国向けHopperの出荷はデータセンター売上高の1%未満であり、業績見通しには中国からのデータセンター向けコンピューティング売上高を見込んでいないと説明しています。この政策を反対側から取り上げた記事として、中国のAI輸出規制案もご覧ください。

市場シェアの推計は、何を測るかによって異なります。

指標寒武紀出典
中国のデータセンター向けAIアクセラレーター出荷量(2026年上半期)5%(エヌビディア34%、ファーウェイ28%)IDC(TechNode経由)
中国AIチップ市場シェア(2026年推計)約14%、ファーウェイに次ぐ2位モルガン・スタンレー(ブルームバーグ経由)

これらの数字は測定対象が異なる(半期の出荷台数と通期の市場推計)ため、単純には比較できません。ブルームバーグはまた、寒武紀のチップがDeepSeekや月之暗面(Moonshot AI)のモデルを動かしていると報じています。月之暗面は今週、Kimi K3.1 Proを公開しました。

比較のために挙げると、SCMPによれば、中国のプロセッサーメーカーである海光信息(Hygon)は同じ週に、7〜9月期の売上高59億元(45.5%増)、純利益10億元(37.9%増)を発表しました。

米大手テック企業のAI投資との関係

寒武紀の決算は、米国のプラットフォーム企業で設備投資として表れているのと同じAIインフラ拡大の、供給側の姿です。たとえばメタは、メタの2026年7〜9月期決算の記事で取り上げたとおり、今年の設備投資を1350億〜1450億ドルと見込んでいます。中国のクラウド企業やインターネット企業も、より限られたチップの選択肢の中で同様の投資を進めています。だからこそ、寒武紀にとってはチップ設計と同じくらい、メモリーとウエハーの生産能力を確保できるかどうかが重要になります。

今後の注目点

  • 10月26日の取引:決算発表後最初の取引で、市場が利益の伸びと売上高の未達をどう評価するかが明らかになります。
  • 決算説明会:投資家はHBMの供給、減損の内訳、MLU692の出荷、顧客の集中度についての説明に注目するとみられます。
  • 10〜12月期の売上高:インセンティブ計画の目標達成には少なくとも39.7億元が必要です。
  • メモリー供給:CXMTなどによる国産HBMの進展があれば、アナリストが指摘する最大のボトルネックが和らぐ可能性があります。

この記事は公表された決算を説明するもので、投資助言ではありません。

よくある質問

寒武紀の2026年7〜9月期決算はどうでしたか?

寒武紀の2026年7〜9月期の売上高は前年同期比104.47%増の35.3億元、親会社株主に帰属する純利益は同147.74%増の14.0億元でした。1〜9月期では売上高が95.3億元、純利益が37.1億元です。これらの数字は監査前のもので、同社が10月23日に提出した開示資料に基づいています。

寒武紀の売上高はなぜ市場予想を下回ったのですか?

ブルームバーグによると、アナリストは7〜9月期の売上高を約62.6億元と予想していました。ブルームバーグは約44%の未達を、製造能力の制約と広帯域メモリーの不足に結び付けています。寒武紀の開示資料は市場予想に触れておらず、差が生じた理由も示していません。

寒武紀の在庫はなぜこれほど増えたのですか?

在庫は2025年末の49.4億元から9月末には116.6億元に増え、仕入先への前渡金も30.4億元に増加しました。こうした動きは、不足している部品を確保し、出荷に先立って製品を生産している企業の姿と一致します。ただし、開示資料は増加の理由を説明していません。

135億元は寒武紀の公式な2026年業績見通しですか?

いいえ。135億元は、寒武紀が2026年7月に公表した譲渡制限付株式インセンティブ計画における2026年の売上高目標です。達成には10〜12月期に少なくとも39.7億元の売上高が必要です。

中国のAIチップ市場で寒武紀の規模はどのくらいですか?

ロイターが報じたIDCのデータによると、2026年上半期の中国のデータセンター向けAIアクセラレーター出荷量に占める寒武紀のシェアは5%で、エヌビディア(34%)とファーウェイ(28%)に次ぐ水準でした。モルガン・スタンレーは別の基準で、2026年のシェアをより大きい約14%と推計しています。

出典


本記事は情報提供のみを目的としたものであり、投資助言や投資勧誘ではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

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